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“アップサイクル”って何だろう?

住まいづくりに携わった私が思ったこと。

2021年1月。新しい挑戦として住宅のデザイン、インテリアコーディネートをスタートさせた。

 その住宅は「数寄屋造り」という、日本の伝統的な建築様式だ。

今では珍しくなった純粋な木造建築。当然、大量の木材が使用される。

住宅デザインは初めての挑戦。たくさんの学びがあった。

 地鎮祭を終え、基礎の工事が進み、棟上げまで済んだ。そこであることに気がついた。

使用される分と同じくらい廃棄される木材も多いのだ。そのほとんどは燃やされてしまうらしい。

 そのことを問いかけると、大工さんも施工責任者の古屋さんも「えっ」と不思議な表情をしていた。

どうやら業界ではごくごく当たり前とのこと。

共同でプロジェクトを進めた、
ダイトホーム株式会社 古屋康弘さん

 数寄屋造りとは「自然と共生する」ものだ。

その背景で廃棄される無数のことを思うと居ても立ってもいられなくなった。

早速、デザイナーとの打ち合わせを開始。

その住宅に合うような家具が作れないかと模索の日々が続いていく。

廃材を使ったテーブルのイメージ。
天板にはコロナ後に大量廃棄されるであろうアクリル樹脂を使用したい。
天井や壁に飾るオブジェ。波打つような木々たちの意匠は職人も驚いていたようだ。

当初、「リサイクル」や「リプロダクト」と呼んでいたこのプロジェクト。だがその呼称は間違いだった。

リサイクルは原料に戻すことを指し、物によっては価値が下がってしまうこともあるそうだ。

 そんな中「アップサイクル(UP-cycle)」という言葉を知った。

創造的再利用とも呼ばれ副産物、廃棄物、役に立たないまたは不要な製品を、

より良い品質と環境価値の新しい材料または製品に変換するプロセスである。

本来廃棄される運命であった木材に新たな命を宿し、

梁や床などに使用された木材と対となるように同じ空間で生き続ける。

そんな家具作りを目指した。